更新日:2024.11.01
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インボイス制度においてよく耳にする「立替金精算書」というワード。当精算書の役割や記載方法などまだよく分からないという方も多いことでしょう。
そこで本記事では、立替金精算書の概要から記載要件といった難解な要点をわかりやすくまとめて紹介します。また、立替金精算書のサンプルも掲載しているので、実際に活用しながら手続き・処理を行なってみましょう。
商品の購入やサービスを利用する際に、本来は支払者である「自社」から「仕入先」に対し直接代金の支払いを行うところを、「取引先(または従業員)」などが立替払いを行った際に、立替者(取引先)が支払者(自社)に対し、立替払いした金額を精算するための交付書類のことを指します。
「仕入先」が「立替者」に対し発行した適格請求書は、「支払者」が仕入税額控除を行ううえで、宛名となる「書類の交付を受ける事業者の名称」が相違している為、適格請求書の記載要件を満たしておりません。
本来は支払者が直接支払うべきものということがわかるよう、
【仕入先→立替者あての立替金精算書 + 立替者→支払者あての適格請求書(コピー)】
をセットで受領し、保管することでインボイス制度対応が可能となっております。
なお、国税庁のQ&Aには、仕入れの適格請求書が多い場合は、立替者側で保管することを前提に、適格請求書のコピー添付は不要で問題が無いとしております。
その際、この立替者が発行する立替金精算書のみで、支払者が仕入税額控除を行うためには
仕入先の各社がインボイス発行事業者か否かわかるように記載し、仕入先名や登録番号、適用税率ごとの区分など、仕入税額控除に必要な記載要件を満たしている必要がございます。
次の章では、仕入れ税額控除を受けるために必要な記載要件を満たした立替金精算書のサンプルを用いて説明し ます。
① 適格請求書 発行事業者の登録番号と名称
② 課税資産の譲渡などを行った 詳細な日付
③ 課税資産の譲渡などに係る 資産等の詳細な内容 (※)
④ 税率ごとに区分をしてある課税資産の譲渡等の 合計額および適用税率
⑤ 税率ごとに区分してある 消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける 事業者の名称
(※)課税資産の譲渡等が軽減対象である場合は、その資産の内容や軽減対象資産の譲渡などである旨の記載が必要
①の 適格請求書発行事業者の登録番号と名称 について、仕入先が適格請求書発行事業者であることを明記するのは必須となりますが
②~⑥までのその他の要件に関して、立替金精算書のみで完結せずとも、別途書類(適格請求書に変わるもの)を添付し、記載要件を網羅する形でも問題ないとされております。(その際、上記サンプルのとおり【 添付 】の項目などがあると受領者側がわかりやすいかと思います。)
「適格請求書」は、料金請求書=適格請求書でなくとも、必要な要件を複数書類で満たすケースが認められています。
わかりやすくお伝えすると、いままで自社に毎月届いていた請求書(料金請求書)が、「適格請求書」として発行されておらず、別途の交付書類とセットで適格請求書要件を満たすケースがあることで、立替金精算書にもこの方法が認められているということになっています。
適格請求書が別途交付書類で発行されるパターンには、WEBサイトから取得するパターンや、(水道光熱費などでは)検針票がその扱いになっているケースなど様々あります。
今回は、立替金精算書のサンプルと注意点についてまとめました。
立替金精算書は、立替者が発行することになりますが、その際に最終支払者が、仕入れ税額控除を受けるために必要な要件を満たした書類交付を求められることになるかと思います。
立替金精算書の交付を受ける「支払者」にあたる方や、立替払いと書類交付を行う「立替者」にあたる方にとっても、本サンプルが記載要件の確認や作成の参考になれば幸いです。
(2024年1月9日 追記)
本記事には記載できなかった、立替金精算書の仕組みや判断が迷いそうなケース、便利な活用方法も含め、以下資料にて網羅的に記載している為、興味がある方は是非ご覧ください。
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