更新日:2026.09.10

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インボイス制度においてよく耳にする「立替金精算書」というワード。当精算書の役割や記載方法などまだよく分からないという方も多いことでしょう。
そこで本記事では、立替金精算書の概要から記載要件といった難解な要点をわかりやすくまとめて紹介します。また、立替金精算書のサンプルも掲載しているので、実際に活用しながら手続き・処理を行なってみましょう。
2023年10月開始のインボイス制度。対応はお済みでしょうか?インボイス制度では請求書の作成方法や消費税の計算方法が変わり、対応を誤ると取引先とのトラブルや税務調査で指摘を受ける可能性も。
「立替経費の処理、これで合っているのか自信がない...」
インボイス制度が始まってから、立替払いの経費をどう処理し、どの書類を保存すべきか迷う場面が増えています。宛名や記載要件を一つ誤ると、取引先とのやり取りや税務調査で指摘を受けることもあります。本記事では、立替金精算書の役割から記載要件、書き方までをわかりやすく整理し、記載例入りのサンプルもご用意しました。手元で見比べながら、日々の処理にお役立てください。
立替金精算書とは、商品の購入やサービス利用の代金を、本来支払うべき「自社(支払者)」に代わって「取引先」や「従業員」などが一時的に立替払いしたときに、立替えた金額を精算するために交付する書類です。
立替払いには、最終的に費用を負担する「支払者(自社)」、実際に代金を立て替える「立替者(取引先や従業員)」、商品やサービスを提供する「仕入先」の3者が関わります。
| 呼び方 | 役割 | 具体例 |
|---|---|---|
| 支払者 | 最終的に費用を負担する(=仕入税額控除を受ける) | 自社 |
| 立替者 | 支払者に代わって一時的に代金を立て替える | 取引先・従業員 |
| 仕入先 | 商品・サービスを提供し、適格請求書を発行する | 販売店・サービス事業者 |

「仕入先」が「立替者」に対し発行した適格請求書は、「支払者」が仕入税額控除を行ううえで、宛名となる「書類の交付を受ける事業者の名称」が相違している為、適格請求書の記載要件を満たしていません。
本来は支払者が直接支払うべきものということがわかるよう、
【仕入先→立替者あての立替金精算書 + 立替者→支払者あての適格請求書(コピー)】
をセットで受領し、保管することでインボイス制度対応が可能となっています。
なお、国税庁のQ&Aには、仕入れの適格請求書が多い場合は、立替者側で保管することを前提に、適格請求書のコピー添付は不要で問題が無いとしています。
その際、この立替者が発行する立替金精算書のみで、支払者が仕入税額控除を行うためには
仕入先の各社がインボイス発行事業者か否かわかるように記載し、仕入先名や登録番号、適用税率ごとの区分など、仕入税額控除に必要な記載要件を満たしている必要があります。
結論から言うと、仕入先が発行する適格請求書(インボイス)の宛名が「立替者」になってしまい、最終負担者である自社宛の書類ではないためです。
この「形式(宛名)」と「実態(負担者)」のズレを埋めるのが立替金精算書です。
次の章では、仕入税額控除を受けるために必要な記載要件を満たした立替金精算書のサンプルを用いて説明します。

立替金精算書のみで支払者が仕入税額控除を行うには、次の項目が必要です。
①の登録番号と名称は必須で、②〜⑥は別途書類(適格請求書に代わるもの)を添付して網羅する形でも問題ないとされています。
| No. | 記載項目 | 補足 |
|---|---|---|
| ① | 適格請求書発行事業者の登録番号と名称 | 仕入先が登録事業者であることを明記(必須) |
| ② | 課税資産の譲渡等を行った年月日 | 取引日 |
| ③ | 課税資産の譲渡等に係る資産等の内容 | 軽減税率対象ならその旨も記載 |
| ④ | 税率ごとに区分した合計額および適用税率 | 8%・10%を区分 |
| ⑤ | 税率ごとに区分した消費税額等 | -- |
| ⑥ | 書類の交付を受ける事業者の名称 | =支払者(自社)の名称 |
(※)課税資産の譲渡等が軽減対象である場合は、その資産の内容や軽減対象資産の譲渡などである旨の記載が必要
①の 適格請求書発行事業者の登録番号と名称 について、仕入先が適格請求書発行事業者であることを明記するのは必須となりますが
②~⑥までのその他の要件に関して、立替金精算書のみで完結せずとも、別途書類(適格請求書に変わるもの)を添付し、記載要件を網羅する形でも問題ないとされております。(その際、上記サンプルのとおり【 添付 】の項目などがあると受領者側がわかりやすいかと思います。)
「適格請求書」は、料金請求書=適格請求書でなくとも、必要な要件を複数書類で満たすケースが認められています。
わかりやすくお伝えすると、いままで自社に毎月届いていた請求書(料金請求書)が、「適格請求書」として発行されておらず、別途の交付書類とセットで適格請求書要件を満たすケースがあることで、立替金精算書にもこの方法が認められているということになっています。
適格請求書が別途交付書類で発行されるパターンには、WEBサイトから取得するパターンや、(水道光熱費などでは)検針票がその扱いになっているケースなど様々あります。(通常のインボイス請求書の書き方はこちら)
インボイス制度では、原則として適格請求書に記載される買い手の名称が「実際の負担者」と一致している必要があります。しかし立替払いでは、仕入先が発行する適格請求書は立替者宛になります。
そのままでは、費用を負担する自社(支払者)の名称が記載されていないため、自社は仕入税額控除の要件を満たせません。
そこで、【仕入先→立替者あての適格請求書(コピー)】+【立替者→支払者あての立替金精算書】をセットで受領・保存することで、自社が仕入税額控除を受けられる仕組みになっています。
これはインボイスQ&A(問94)で示された取り扱いです。
立替金精算書の交付方法は、大きく2パターンに分かれます。それぞれ必要な記載レベルが異なります。
仕入先の適格請求書(コピー)に立替金精算書を添付する場合、精算書自体は簡易的な内容で問題ありません。
少なくとも「どの事業者の立替払いか」「どの支払いを立て替えたか」がわかるようにしておきます。一般的には、宛先(支払者名)・発行者(立替者名)・支払日・支払内容・支払先・支払金額・備考などを設けます。
適格請求書を添付せず精算書のみを交付する場合は、精算書が適格請求書の役割を兼ねるため、記載要件を満たす必要があります。次の項目を漏れなく記載しましょう。
今回は、立替金精算書のサンプルと注意点についてまとめました。
立替金精算書は、立替者が発行することになりますが、その際に最終支払者が、仕入税額控除を受けるために必要な要件を満たした書類交付を求められることになるかと思います。
立替金精算書の交付を受ける「支払者」にあたる方や、立替払いと書類交付を行う「立替者」にあたる方にとっても、本サンプルが記載要件の確認や作成の参考になれば幸いです。
(2026年9月10日 追記)
本記事には記載できなかった、立替金精算書の仕組みや判断が迷いそうなケース、便利な活用方法も含め、以下資料にて網羅的に記載している為、興味がある方は是非ご覧ください。